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賛同します。

たなか氏の提言に賛同して、本館>手品ムービー>解説のマッスルパスの項を加筆しました。テレビやマンガで紹介されて以来、あちこちで話題になっているのは知っていましたが、必須技法だと思い込んで必死で練習している人達がいるとは…。ブームというのは恐ろしいもので。

ついでに僕の経験談を少し。僕がマッスルパスの練習を始めたのは僕の手品歴の中では比較的最近です、と言ってもかれこれ10年くらいになりますが。その頃にはその他の基本的な技法は一通り身についていましたので、マッスルパスは余技・余芸くらいの気持ちでした。それ以前からコインマジック事典などで「そういう技法がある」ということは知っていましたが、実際に見るまでは本当にできるものとは思いませんでした。オフ会で実際に目にして練習し始めたわけです。しばらく練習するとほんの少し飛ぶようになったので、意外に早くできるようになりそうだと思ったのですが、後から考えるとそのときのやり方は間違っていたようです。その間違ったやり方でその後もしばらく練習していたのですが、やはり間違っているだけに思うように飛距離が伸びませんでした。

あるとき、ふじいあきら師のレクチャーに参加し、運良くふじい師のマッスルパスを間近で見ることができてようやく正しいやり方を知ることができました。それからは正しい(と思われる)やりかたで練習し始めたわけですが、それでもなかなか満足できるようなものにはなりませんでした。繰り返し練習していると拇指丘に水ぶくれのようなマメができて、その状態で練習を続けているとそのマメがつぶれてしまいました。当然痛いのですが痛いのを我慢して練習を続けるとタコができてしまいました。タコができるとコインが引っかかって飛びやすくなるのですが、あまりタコが大きくなると引っかかるところがなくなって却って滑ってしまいます。考えてもみてください。タコができるのはコインが当る部分、コインを引っ掛けるのはタコの端っこの部分。つまりタコの端っこだったところが今度は圧力の中心になって、やがてタコの中心になるわけですからどんどんタコが大きくなるかずれていってしまうわけです。これではいつまでたってもコインの位置が安定しません。僕の師匠などはクラシックパームがやりにくくなるという理由で僕の知る限りマッスルパスは全くやろうともしませんでした。

それでもようやく形になってきたわけですから、練習を止めるわけにはいきません。タコを削ったり剥いたりしながら練習を続けていました。でもそんな不細工な手のひらを人に見せるわけにはいきません。変なところに力が掛っていることが丸分かりです。普通の手品をやるときでも手をあらためることができなくなってしまいます。それほど熱心に練習していても、しばらくするとマッスルパスへの興味は薄れていきました。別の技法の練習するようになると手のひらは徐々にきれいになっていきました。今ではよく見るとかすかにタコがあるのが分かる程度です。マッスルパスのほうはというとハーフダラーなら安定して20cm程度は飛びます。熱心に練習していたときとほぼ同じくらいです。

練習熱心なのは悪いことだとは思いませんが、怪我をしてしまっては元も子もありません。怪我の程度が大きくなりがちなスポーツの世界なら当然のように言われていることです。手品、特にクロースアップマジックでそんな大怪我をするようなことはないでしょうが、手を傷めてしまって、それでも無理をして練習し続けたためにハンドリングが変な形に固まってしまうことは十分に考えられます。マッスルパス以外の技法でも練習のし過ぎは手を傷めることになります。僕も目いっぱいやってしまうほうですから、カードのバックパームを練習したときには指が擦り切れてしまったり、クラシックパームを練習したときにはマッスルパスと同じように拇指丘にタコを作ったり、ロールダウンの練習ででさえ指の側面を擦りむいてしまったことがあります。でもそうやって練習したところで、技法が安定するのを待ったり、手の傷が癒えるのを待ったりしたら、結局実際に使えるのは数ヵ月後から数年後になってしまいます。それなら無理をせずほどほどに練習したって同じことです。手品なんてブームの間しかやるつもりはないというなら短期集中でやるのもいいかもしれませんが、一生の楽しみと思うのならあせらず気長に練習するほうが得るものは多いと思いますねぇ。

要するに僕もエラそうなことは言えないということで。

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